1ch2枚刺しのメモリスロットの接続ついて
市販のM-ATX以上のMB(MotherBoard)を使っているとメモリ
を接続できるスロットが4本、ハイエンド用だと8本搭載している
物がありますが、デュアルチャネルやクアッドチャネルを2構成
出来る様になっています。
1ch辺り2スロットあるMBの場合、4枚刺しをする時にメモリスロ
ットまでの配線の仕方で問題が起きる可能性があるので、今回は
メモリスロットまでの配線方式と注意点について書きます。
【スロットまでの配線とメモリの関係】
まずはMB上の配線の仕様を説明しますが、MBのチップセットや
各種スロットの配線は、CPUから見て最適なデータ通信が出来る
レイアウトになっており、メモリスロットもCPUと効率的にデー
タ転送が行える様な配線になっています。
因みにCPUのメモリコントローラの仕様上、先に読みに行くメモ
リスロットはA2、B2となっています。
以下でも説明しますが、配線の関係上枚数や挿す場所によって問
題が起きるので↑の事を覚えておいた方が良いかもしれません。
【Tトポロジー】

DDR3まではメモリの速度とレイテンシ(反応時間)がそれほど早く
なかった為、メモリスロットまでの配線はすべて同じ距離になる
様に分岐配線したTトポロジー(T-topology)と言う配線をしてい
ました。
Tトポロジーは1ch2枚目までの距離を同じにするために配線が長
くなっており、メモリコントローラとメモリ間の距離が開く為、
相対的に見ると高周波数にし難いという問題はありましたが、
CPUとメモリの距離が4枚刺しにしてもすべて同じだったため、4
枚刺し(1ch2枚)の時に同期しやすいという特徴があり、問題が出
にくいという特徴がありました。
【デイジーチェーン方式】

DDR4以降メモリの速度とレイテンシ(反応時間)が高速化した影
響で、CPUとメモリ間の距離をいかに短くするかと言う問題が出
た為、最短距離でA2、B2まで接続した上でA1、B1にもそのまま
配線を延長して接続するデイジーチェーン(daisy chain or fly-by)
と言う配線方式を採用する様になっています。
デイジーチェーンはA2、B2がメモリコントローラから近い為、2
枚刺しの時は高周波数にしやすいですが、A1、B1はCPUとの距
離がA2、B2よりも長くなる為、4枚刺しの場合は同期がし難くな
るという問題があり、4枚刺しの時に高周波数にし難いという特徴
が出ます。
↑の同期し難いという特徴は2枚組を購入して使っていた所に別の
2枚組を増設した場合に仕様の違いで問題が起きやすいという問題
もあるので、デイジーチェーンのMBの場合は4枚刺しにする時は
4枚組を選択して差し替えた方が良いかもしれません。
尚、デイジーチェーンからスロットまでの距離が違っている為、4
枚刺しの時にA2、B2に使用頻度の高いデータを置いてA1、B1に
低いデータを置く制御になっている為、
同じ速度で32GBを16GB x2構成にするより8GB x4構成にした
方が少しだけ早くなります。

上記の2配線の各画像は概念での説明しているのでAchとBchの配
線に違いがある様に見えますが、実際の配線はCPUとA2、CPUと
B2までの配線長は同じになる様に基板内でグネグネ配線して長さ
を調節しています。
メモリコントローラとAchとBchの距離が違っていると、デュア
ルチャネル自体の同期もとり難くなるので。
【注意点】
現状ほとんどデイジーチェーン方式になっているという話があり
ますが、Tトポロジー方式のMBも存在しています。
方式によって注意する事があるので新しく組む時や、増設、交換
する時に覚えておくと良いかもしれません。
まずほぼ共通の注意点ですが、2枚刺しの時はA2、B2に挿す様に
して下さい。
上記で説明している様に、CPUのメモリコントローラはA2、B2
からメモリを読み込みに行く仕様になっている為、同じ距離のTト
ポロジーの場合でも読み込み順が後のA1、B1に接続すると認識ま
でに微妙に時間が余計にかかります。
デイジーチェーンの場合は物理的に配線距離が遠くなるのも相ま
って起動時間が伸びてしまうので、こちらもA1、B1に接続すると
認識までに時間が余計にかかります。
上記で説明した様に4枚組の時の問題ですが、デイジーチェーン方
式の場合でどうしても増設で済ませたい場合は、必ずA2、B2の方
に周波数が低く、レイテンシも遅い方を挿す様にして下さい。
4枚でデュアルチャネルを構成する場合、同期する時に一番遅いメ
モリ構成を基準に同期しようとしますが、OCメモリや性能の高い
方をA2、B2に挿してしまうと物理距離の差も相まって余計同期し
難くなる為、
2枚追加すると起動出来ないという問題が出る可能性が高くなり
ます。
2配線方式の設定できる周波数の関係は以下の様になっているので、
自分の使うであろうメモリに合わせて選択する様にして下さい。
【2枚刺し】
2スロット > 4スロット(デイジー) > 4スロット(Tトポロ)
【4枚刺し】
4スロット(Tトポロ) > 4スロット(デイジー)
例
2枚:4400 > 4200(デイジー) > 4000(Tトポロ)
4枚:3800(Tトポロ) > 3600(デイジー)
物理配線の仕様で↑の様に対応周波数やレイテンシの設定に影響
が出るので、仕様を理解して選択すると問題が出難くなります。
この仕様はOCする者だけではなく、数世代CPUを乗せ換えられる
MBを使用する場合に、後発のCPUが出て対応メモリの周波数が上
がった時にも影響があるので、
メモリ規格の移行期で、Nativeメモリがどんどん変わる期間に出
た製品は後発のCPUの事も考えてMBを選択する様にして下さい。
尚、MBの製品ページに配線方式が書いてないとどちらか分からな
いので、不明な場合はMBメーカーに問い合わせて下さい。
デイジーチェーンで4枚挿しの場合上記した様に同期し難いという
問題がありますが、DDR5の場合メモリその物に電源コントロー
ラのPMIC(power management IC)が搭載されており、メモリ
用に電圧を変換する様になっているのですが、
4枚刺しにする場合4枚とも同じメーカーのPMICで仕様も同じで
ファームウェアも同じにしないと、制御時に電力制御に問題が発
生し、どちらかのセットの2枚だけ制御がおかしくなって異常発熱
して壊れたり、最悪2セット4枚全部壊れるという事もある様です。
更にCPUにもダメージが行って死ぬ場合もある為、適当に買った
別セットの4枚刺しは危険だと考えて下さい。
DDR5で4枚刺しする場合は初めから4枚組を使う必要があると考
えて下さい。
但し、現状2枚組しか販売されていないので、どうしても4枚組に
したい場合は同ロットで近い製造番号の2枚組の2セットで買える
店を探して下さい。
基本的にメモリをOCする人に関係する事ですが、数世代CPUの乗
せ換えが出来るMBにもかかわりがあるので、覚えておくと良いか
もしれません。
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【メモリの選び方】
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【メインメモリのシングルランクとデュアルランクについて】
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