AVX512で割増されたベンチの数値に注意
海外の提灯記事を書くサイトがRocket Lakeについての記事を出
していましたが、Intel CPU側にだけある拡張回路を使用する事
で数値を割り増ししている事を書かず、そのまま翻訳して記事に
した処を利用し、
ネット対策企業がネット上に問題のある情報を出し始めたので注
意を一つ。
【関連記事】
1:Intel Core i9-11900K Rocket Lake-S CPU debuts on
PassMark with the fastest single-core performance in th
e ranking
2:Passmark releases PerformanceTest v10 benchmark,
adds AVX512 - Receives Critique for favoring Intel
3:Geekbench 4 CPU Workloads(公式PDF)
4:Maxon Releases New R20 Version of Cinebench Benc
hmark
5:Embree Overview
【AVX 512とは】
AVXとは浮動小数点演算をする時に特定の演算に特化した演算を
する為の拡張回路の事です。
AVX 2まではクロスライセンスでIntel、AMD両方で対応してい
ますが、AVX 512にはIntelしか対応していません。
【何が問題なのか】
AVX 512に対応しているベンチでAVX 512を使用して数値を割
り増ししているだけなら問題ないですが、問題なのは拡張回路のA
VX 512を利用しているソフトウェアが殆ど無いと言う所です。
一般向けソフトウェアは一部動画編集用ソフトのエンコード時に
使用しているだけで、殆ど導入されていません。
CPUの性能を気にする者は主にゲームソフトで使用する事を前提
にしている事が多いですが、AVX 512をゲームで使っているタイ
トルはありません。
あくまで拡張回路と言うのもありますが、使用すると消費電力と
発熱が高くなる、一般向けがSkylake-XとCascade Lakeのウル
トラハイエンドとIce Lake以降のノート向けのCPUしか搭載して
おらず殆どのCPUでまだ対応していないという問題と、
性能が必要なソフトを使用するクラス帯の自作PCやBTO PCでは
殆ど対応していない為、ゲームソフト側で対応する意味が現状あ
りません。
そんな状態でベンチだけAVX 512の回路を使用した数値を出して
性能が高いとやっても実際のソフトではAVX 512を利用できない
為、使用するソフトのほとんどで対応しておらず、ベンチの様な
処理性能が出る事がありません。
つまり現状AVX 512を利用しているベンチマークの数値は意味が
なく、実際の処理能力を見る事が出来ないと言う事になります。
この様な状態のベンチを利用して性能が上がったという記事は非
常に悪質なので騙されない様に注意して下さい。
因みにエンコードで使えるとしても、Core数が多いCPUに比べて
処理速度が高くなる訳では無いというのと、
発熱が非常に高くなる為、冷却機構も高水準な物に変えないとサ
ーマルスロットリングが起きる可能性が高く、短時間しか使えな
いという問題もあります。
【AVX 512を導入したベンチの例】
【Passmark】
記事2にもありますが、Passmarkは2020年3月に出たバージョ
ンからAVX 512を使用する様になっており、当時の時点でも数値
が異常に上がって海外や日本で指摘されて信用されなくなったベ
ンチです。
記事1で使用されていますが、Rocket LakeでAVX 512に対応し
た為、数値が高くなっている訳です。
【Geekbench】
3の公式PDFにある様にGeekbenchは4からAVX 512を使用する
様になっている為、此方も参考にならなくなりました。
【CINEBENCH R20】
記事4と5にありますが、CINEBENCH R20にはIntelが開発した
レイトレーサのEmbreeを使用しており、EmbreeはAVX 512を
使用する様になっている為、R20はAVX 512で数値を割り増しし
ているので注意して下さい。
その他のベンチでも変に数値が上がっている場合は確認が必要だ
と考えて下さい。
(2022/1/26追記)
【AVXやAVX2での割り増しにも注意】
Alder LakeではAVX512を表面上(PCoreに回路では実装)未対
応にした分、AVXやAVX2を増量して数値を稼ぐ様に変わってい
る為、注意が必要です。
AVXやAVX2を使用しているソフトは512より存在はしています
が、一部ゲームや動画エンコード時など極少数なので、AVX512
と同様大半のソフトではAVXやAVX2を使用しているベンチの数
値は実際の処理能力の参考にはなりません。
AVXやAVX2を使用しているソフトを使用している場合は参考に
しても問題ないですが、殆どのソフトウェアでは参考にならない
ので数値に騙されない様に注意して下さい。
因みにAVX512で上げている↑のベンチはAVXやAVX2に対応し
ている為、512同様、AVXやAVX2に対応していないソフトウェ
アを使用する時の実際の処理能力の数値としては参考にならない
と考えて下さい。
【CINEBENCH R23】
CINEBENCH R23はAVX対応なのでAVXの演算機を2基から3
基に増やしたAlder Lakeで数値が割り増しされます。
昔も実際のソフトで殆ど使われていないX87をベンチで使って数
値上げとかやっていましたが、実際のソフトで殆ど使っていない
拡張回路で数値を上げているベンチは、
広告用カスタム車でレビューをさせて性能の低いノーマル車を売
る事と同じ悪質な詐欺行為なので、本当に注意して下さい。
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